USCPA(米国公認会計士)の受験を検討している人や、すでにUSCPAホルダーの人の中には
「この資格は将来、独立開業できるのか」
と気になる人も多いはず。
この記事では、会計事務所や監査法人で働いてきたUSCPAの私が、USCPAの独立開業の可能性や働き方について解説します。
独立開業しなくても自由な働き方をする方法も解説しているので、USCPAを検討している人はぜひ参考にしてみてください。
この記事を書いている人
単位ギリで地元の駅弁大学卒業→銀行に入社するもツラすぎて1年で退職(年収300万)→税理士試験に挑むも1科目も合格できず挫折(年収380万)→働きながら1年10か月でUSCPA取得→BIG4監査法人金融部転職(年収600~690万)→TOEIC855点獲得→大手FAS(年収910万)
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USCPAの独立開業の可能性
日本で独立はできるが独占業務ができない
さっそく結論ですが、USCPAの資格だけで日本国内で独立開業することは可能です。
ただしあくまでアメリカの公認会計士資格のため、日本で公認会計士や税理士としての「独占業務」を行うことはできません。具体的には「監査」「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」を指します。
つまりUSCPAは日本において、これらの業務に関与することはできますが、最終的にハンコを押す(業務に責任を持つ)ことができないということです。
したがって日本で会計事務所として独立開業したい場合は、独占業務が可能な公認会計士や税理士とタッグを組むか、独占業務以外の分野で事業を行う必要があります。
USCPAの独立しやすさを他の資格と比較
USCPA | 公認会計士 | 税理士 | |
---|---|---|---|
合格までの学習時間 | 1,500時間 | 2,500〜3,500時間以上 | 2,000〜3,000時間以上 |
資格の取得しやすさ | ◎ | △ | △ |
日本での独占業務 | なし | 監査 | 税務代理や税務書類作成等 |
独立しやすさ | △ | ◎ | ◎ |
転職先の多さ | 〇 | ◎ | ◎ |
年収アップしやすさ | ◎ | ◎ | ◎ |
上表は各資格を比較したものになります。
USCPAは公認会計士や税理士に比べると取得しやすい反面、独立しやすさや転職先の多さでは劣ることがわかります。
特に「独立しやすさ」で劣る理由は、
- 資格取得だけでは日本で独占業務ができないから
- 英語業務のニーズがほぼ首都圏のみであり、地方だとUSCPAに求められる仕事が少ないから
になるかと思います。
会計系の難関資格を目指すなら、自分のキャリアの方向性についても慎重に検討する必要があります。
アメリカや海外での独立
USCPAは海外での独立開業に適した資格です。
ライセンス登録をしたアメリカの州であれば、公認会計士として独立開業できます。
また、USCPAは複数の国や地域と相互承認協定(MRA)を結んでいます。USCPAの資格を取得している場合、相互承認協定を結んでいる国々においては、その国の会計士資格を取得することなく、その国の会計士と同じ業務を行うことができます。
2023年5月現在でUSCPAの相互承認協定を結んでいる国は次の通りです。
- 南アフリカ
- オーストラリア
- ニュージーランド
- カナダ
- アイルランド
- メキシコ
- スコットランド
なお、実際に相互承認協定を結んでいる国で資格を取得するには、各国が指定するいくつかの単位履修や研修などが必要になる場合があります。
USCPAの独立開業の具体例3選
USCPAとして独立開業の具体例を3つ紹介します!
会計領域での独立
USCPAが会計領域で独立する場合、主に以下の業務に従事することが考えられます。
- J-SOX評価支援
- 経理体制構築支援
- 連結決算早期化支援
- 株価算定支援
- M&Aにかかる財務デューディリジェンス業務
いずれもUSCPA取得後に、監査法人や上場企業に転職し、そこで培った実務経験をベースに営業や業務に従事するパターンです。
私の先輩が言ってましたが、同期のUSCPAの人はM&A業務で独立しているそうです。
英語・海外領域での独立
USCPAは英語に強みをもつため、日本の公認会計士と差別化ができています。英語や海外領域でUSCPAが独立する場合、以下の業務に従事することが考えられます。
- IFRS導入支援
- 海外子会社管理体制支援
- 英文財務諸表作成支援
具体的には、グローバルに活躍している会社や海外に子会社を持つ会社、IFRSをこれから採用しようとしている会社に対してサービスを提供することになります。特に現地のスタッフとメールやミーティングをする機会も多くなることが想定されるため、英語でのビジネスコミュニケーション能力も必要となります。
アメリカや海外での独立
アメリカや海外で独立している人もいます。
もともとUSCPAはアメリカの会計資格ですから当然なのですが、主に現地で日本人向けの会計事務所として独立するケースが多いかと思われます。
すでに海外で生活している人や、これから海外に移住予定のある人にとって、USCPAを取得して独立、というキャリアは現実的な選択肢になってくると思います。
USCPAが独立するときの注意点
資格取得だけではなく実務経験を身につけるべき
冒頭でも説明した通り、USCPAは日本国内での独占業務がないため、資格の保有だけで独立が難しいです。
USCPAとして独立するときは
「実務経験」や「スキル」がめちゃくちゃ重要
と言えます。
特にUSCPAであれば公認会計士試験と比較して知識面で劣るため、実務経験が特に重要になります。お客さんからしても、再現性高く成果を出してほしいわけですから、資格そのものよりも今までの実績や実務経験を重視するのは当然です。
したがって将来的に独立を目指すのであれば、USCPA取得後は、どんな仕事をしてどんな実績をたたき出したかがめちゃくちゃ重要です。つまり受け身の姿勢ではなく、どんな仕事でも積極的に飛び込んでいく姿勢がないといけません。
私もやりたい仕事があれば、上司に廊下ですれ違うたびに「あの案件、アサインしてくださいね!」と声をかけまくってました。
実務経験を身につけたいなら監査法人への転職がおすすめ
USCPAとして独立を目指すなら、資格取得後は監査法人に転職することをおすすめします。
監査法人では独立後に必要な実務経験を積みやすい環境だからです。
会計監査の部門であれば、決算や内部統制(J-SOX)、IFRSや英文財務諸表の業務にイヤでも携わることができます。グローバル企業の監査にアサインできれば、現地監査チームと英語でのコミュニケーションの経験も積むことができます。
私も四半期ごとに現地チームと英語でミーティングをしてました(全然聞き取れませんでしたが…)。
またアドバイザリー業務にも従事できるため、決算早期化支援やM&A関連業務の経験も積むことができます。
様々なクライアントや案件を抱えている監査法人では、実務経験を積むのに最適ですので、独立志向の人は監査法人への転職を目指しましょう。
監査法人での働き方や年収については以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】USCPA取ったら監査法人へ転職すべき理由5選【年収アップしたBIG4出身者が解説】
独立するなら見込み客の確保が最優先
独立開業するのであれば人脈作り、特に見込み客を確保しておくことは非常に重要です。
資格を持っていても貴重な経験があったとしても、顧客がいなければ売上はゼロです。机の上でひたすら問題集を解いても、エクセルをこねくり回しても、営業して顧客がいないと存在価値がないのです。
独立してから顧客を見つけようとすると、キャッシュが足りなくなり、精神衛生上もよくないので、独立開業する前から見込み客を見つけておくことは非常に重要です。
それ以外でも、同業の会計事務所や士業の人たちとつながりを持っておくことは大事です。関係性を築いておくことで、抱えきれない仕事を回してもらえたり、専門的な分野について教えてもらうこともできます。
また銀行など金融機関との関係性も大事です。独立すると銀行から顧客を紹介してもらう機会が多いです。支店も多いですから保有している情報は多く、顧客の課題感も把握しているので、銀行で対応できないような仕事を回してもらえる可能性があります。
逆に見込み客が確保できれば何とかなります。独立前になんとか顧客を見つけるようにしましょう。
USCPA保有者が地方で働き続ける方法
この記事を読んでいる人の中には、地方に住んでいる人もいるかと思います。
USCPAに興味はあるものの「地元で働き続けたい」「USCPA取得後は地元で独立できないか」と考えている人もいるかもしれません。
私の意見ですが、地方で独立はやはり難しいと思います。冒頭でもお話しした通り地方でのUSCPAのニーズが少ないためです。
ただしUSCPAを取得して地元で働き続けることは可能だと断言します!
USCPAを取得して地元で働き続ける方法は以下のパターンが考えられます。
- 監査法人の東京事務所から地方事務所へ異動
- 会計業務経験後に地元大手企業へ転職
- リモートで東京の企業で働く
いずれも、まず東京や大阪など首都圏の大企業に転職し、実務経験後、地元の事務所や地元大手企業に戻ってくるパターンです。
四大監査法人であれば地方にも事務所があり、また希望すれば異動もできます。地元の大手上場企業であれば、監査対応や海外子会社に関する業務もあるため、実務ができるUSCPAに対するニーズはあるはずです。また在宅業務が普及してきた今では、リモートで東京の企業で働くこともできます。
USCPAとして地方で働く方法について、詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
【関連記事】【地方出身者が解説】USCPAとして地元で働き続ける方法
USCPAが独立しなくても自由に働く方法
USCPAの独立開業は比較的難しいですが、ここでは独立開業せず企業に所属したまま自由に働けないか、を考えてみたいと思います。
独立開業はあくまで「手段」であって「目的」ではないですからね。
「サラリーマンのまま自由に働く」とは
将来、独立開業を目指すなら、どのように働きたいかを自分なりに考えておく必要があります。独立開業したい人の目的はさまざまかと思いますが、基本的には、企業に所属したくない、自由に働きたいと思っている人がほとんどではないでしょうか。
ここでは以下4つの働き方の「自由」について考えてみます。
- 金銭的自由
- 時間的自由
- 人間関係の自由
- 裁量的自由
上記の4つの「自由」を可能な限り手に入れた状態で働くことができれば、仮に独立せずサラリーマンのままでも自由で理想的な働き方に近づくことができるのではないか、と私たけぞうは考えております。
以下ではそれぞれの「自由」について考えていきます。
①金銭的自由=お金に困らない
サラリーマンにとっての金銭的な自由とは
- 年収800万円以上
- FIRE(経済的自立・早期退職)できる程度の資産
こちらのいずれか、または両方を得た状態だと思います。
USCPA資格は外資系企業や監査法人、M&A業界といった高年収の企業に転職しやすいため、年収800万円以上はそこまで難しくないでしょう。
私もUSCPA取得後の5年後には年収800万円に到達できました。
また年収が上がった後に、生活水準も上げなければ貯蓄もたまっていくはずです。積み立てNISAなど資産運用を行えば、理論上、10年程度でFIREは可能な水準まで資産を増やせます。
したがってUSCPAを取得すれば、独立開業せずとも金銭的自由は手に入れやすくなると思います。
【関連記事】USCPA取得すればFIREするまで何年かかる?【試算上は11年で早期リタイア可能】
②時間的・人間関係の自由=リモートOK、ワークライフバランス重視
時間的にも人間関係からも自由に働くには
- 在宅・リモートワークOKな会社
- ホワイトでワークライフバランス重視な会社
で働けるかが重要になってくるはずです。
在宅勤務や残業がほぼない職場であればプライベートの時間も増やせますし、ホワイトな上場企業であれば企業風土を重視する会社も多いはずですから、パワハラやイジメなどは少ないと考えられます。
USCPA資格を歓迎要件とした求人の中には、在宅勤務OKの求人も多数あります。また上場会社の財務・経理の募集も見受けられますが、一般的にホワイトな職場環境であることがほとんどです。
監査法人でも週2~5日間はリモート勤務が多く、自分のタイミングでランニングやサウナにも行っていました。
USCPAを取得すれば、このような職場に転職できる可能性が上がります。企業に属している以上、独立している人と比べると、完全に自由な時間が約束されているわけではありません。また人間関係のストレスから完全に解放されるわけでもありませんが、スキルを身につけ転職市場の価値を上げることで、ある程度、自由な働き方を手に入れることができるのではないでしょうか。
③裁量的自由=出世する、専門性を身につける
ここで言う「裁量的自由」とは
- 自分で仕事をある程度コントロールできること
- 自分で仕事を選べること
- 主導権は自分にあり、営業しなくても仕事が舞い込んでくること
を指します。
銀行員だと支店から課せられたノルマを達成するため、お客さんにペコペコしながらお願い営業をしなければいけない局面がありますが、そういったこととは無縁の働き方です。仕事の主導権は自分(たち)にあり、好きな仕事を好きなようにできる状態と言えるでしょう。
実際に独立開業を目指す人の多くは、会社の歯車のように働きたくない、自由に働きたいと思っているはず。
サラリーマンのまま自由に働くことは確かに難しいです。組織に属している以上、やらされる仕事もありますし理不尽なこともあります。ですが出世すること、そして専門性を身につけることで、裁量を持ち自由な働き方に近づくことができます。
出世をすれば権限も増えるため、自分の決断で仕事を進めることができます。また地味で面倒くさい仕事があれば、部下や後輩にお願いすることだってできます。
また専門性を身につけることで、仕事のイニシアティブを握ることができます。知識や実務経験が豊富な専門家になれれば、自分から頭を下げて営業する必要がなく(最初からまったく営業しないわけではないですが)、むしろ向こうから頭を下げて仕事を依頼してきます。
USCPAという資格をしっかり活かすことができれば、会社内で出世にもつながりますし会計領域の専門職への転職の可能性も上がります。結果、仕事における自分のステータスが引き上がるので、裁量的に自由な働き方が実現できるでしょう。
まとめ:独立しようがしまいが20代はひたすら実務経験を積め!
今回はUSCPAの独立の可能性について解説しました。USCPAは知識面で公認会計士や税理士に劣るので、独立するなら圧倒的な実務経験を積む覚悟を持ちましょう。
それくらいの覚悟で仕事し続けていれば、結果的に独立開業しなくても組織内で出世していき、自由な働き方に近づくはずです。
20代のうちから実務経験を積める会社に転職したいなら、会計領域やM&A、コンサル領域に詳しい転職エージェントから情報収集しておくことは非常に重要です。
以下の記事では「USCPAおすすめの転職エージェントとその活用方法」を徹底的に解説しているので、こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。
【関連記事】USCPA合格者おすすめの転職エージェント4選|年収アップした筆者が利用方法も徹底解説!
以上!