税理士試験の受験生は「合格まで何年かかるのだろう?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。長年、税理士試験の勉強を続けているけれど、なかなか合格できずに挫折しそうな方も多いはず。
税理士試験の勉強は長期に渡るので、勉強を継続できる気力や体力が求められます。
適切な環境下で正しい勉強方法を行わないと、税理士試験には合格できません。
本記事では、税理士試験の合格までにかかるおおよその年数を示し、どうすれば合格に近づけるのかを解説します。
税理士試験に最短で合格するためのポイントや挫折しそうな方が知っておくべき選択肢についてもあわせて解説しているので、「税理士試験になかなか合格できない」と悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
この記事を書いている人
単位ギリで地元の駅弁大学卒業→銀行に入社するもツラすぎて1年で退職(年収300万)→税理士試験に挑むも1科目も合格できず挫折(年収380万)→働きながら1年10か月でUSCPA取得→BIG4監査法人金融部転職(年収600~690万)→TOEIC855点獲得→大手FAS(年収910万)
凡人がUSCPA(米国公認会計士)試験の勉強方法や、USCPAを活かした転職方法について発信してます。
USCPA(米国公認会計士)資格のおかげで凡人の私でも5年で年収380万円から910万円に
税理士試験に受かるまでは何年かかる?
税理士試験に受かるまでにかかる一般的な年数について解説します。
- 税理士試験に受かるまでに一般的には6〜7年はかかる
- 最短でも税理士試験合格まで2〜3年はかかる
人によってかかる年数は異なるため、自分の現状に合わせた戦略を考えることが大切です。
1.税理士試験に受かるまでに一般的には6〜7年はかかる
税理士試験に受かるまでは、おおむね6〜7年かかります。税理士試験は11科目のうちから5科目を受験し、それぞれ合格点を取ることが求められる難易度の高い資格試験です。
科目合格を積み重ねていき、5科目全てに合格するためには3,000時間以上の勉強が必要といわれています。
6〜7年の時間を捧げるには、税理士になるという強い覚悟が必要です。
大学生などの比較的に時間にゆとりのある人を除いては、合格まで6〜7年はみておく必要があるでしょう。
2.最短でも税理士試験合格まで2〜3年はかかる
税理士試験の勉強に専念できる環境に身を置いた場合には、最短2〜3年で合格も狙えます。時間のゆとりがある大学生や仕事を辞めて税理士試験の勉強に専念できる人などが挙げられるでしょう。
勉強に集中できる環境にいる人は、合格までにかかる時間を大きく短縮できるでしょう。
また、最短で税理士試験に合格するためには、効率的な勉強も大切です。
税理士試験の各科目の合格率は10〜20%を推移しており、どの科目も一筋縄ではいきません。ただし、選択科目において自分の得意科目を見つけ、効率的に勉強すれば最短での合格も可能になるでしょう。
税理士試験の難易度・合格率
税理士の合格率は、18〜20%を推移しています。以下の11科目から5科目に合格する必要があり、どれも難易度が高い科目ばかりです。
税理士試験の試験科目と勉強時間・合格率は以下の通りです。
科目 | 種別 | 勉強時間(目安) | 2022年度合格率 |
---|---|---|---|
簿記論 | 必修 | 500~800時間 | 16.5% |
財務諸表論 | 必修 | 500~600時間 | 23.9% |
所得税法 | 選択必修 | 1,000~1,500時間 | 12.6% |
法人税法 | 選択必修 | 1,000~1,500時間 | 12.8% |
相続税法 | 選択 | 900~1,200時間 | 12.8% |
消費税法 | 選択 | 600~800時間 | 11.9% |
酒税法 | 選択 | 350~500時間 | 12.6% |
国税徴収法 | 選択 | 350~500時間 | 13.7% |
住民税 | 選択 | 350~500時間 | 12.7% |
事業税 | 選択 | 350~500時間 | 12.6% |
固定資産税 | 選択 | 350~500時間 | 12.8% |
税理士試験の合格基準点は、各科目ともに満点の60%です。ただ、60%以上取れたからといって必ず合格となるわけではなく、傾斜配点によって合格者の人数が調整されています。
相対評価によって合否が決定づけられます。
勉強する職場環境や家庭の事情によっては、合格までに10年以上の時間がかかることも珍しくありません。生半可な気持ちでは受けられないので「なんとしても税理士になりたい」という強い信念が必要です。
また税理士試験は、試験制度も古く、受験者にとって厳しいものとなっています。私のように税理士受験を諦める人一定数いますが、税理士試験の実情をあらかじめ知っておきたい方は【税理士試験はおかしいのか】税理士をあきめるか迷ったときの考え方を元受験生が解説しますの記事も参考にしてみてください。
税理士になるための3つのルート
税理士になるには、主に以下の3つのルートがあります。
- 税理士試験に合格する
- 弁護士または公認会計士試験に合格する
- 税務署に一定の期間以上勤務する
税理士試験以外にも税理士になる方法は存在します。1つずつ詳しくみていきましょう。
1.税理士試験に合格する
税理士になるには、税理士試験に合格する方法が王道です。試験は年に1回しか受けられないため、試験に向けた計画的な勉強が必要となります。
数年かけて全科目合格を達成し、晴れて税理士になれます。
ただ、税理士登録するためには、税理士試験合格だけでなく、通算2年間の実務経験が必要です。
大学院での科目免除制度を利用して、一部科目の免除を受けたりする方法もありますが、費用と時間が相当かかってしまうため、慎重に検討すべきでしょう。
2.弁護士または公認会計士試験に合格する
司法試験や公認会計士試験に合格することで、税理士登録が可能です。しかし、難易度は司法試験や公認会計士試験の方が高いため、効率の良い方法ではないでしょう。
税理士になりたいのであれば、税理士試験に合格する方が王道であり近道です。
弁護士も公認会計士も税法に精通した専門家ではないため、税務を行いたいなら税理士試験に合格して税理士登録するのが良いでしょう。
3.税務署に一定の期間以上勤務する
税務署に一定の期間以上勤務することでも、税理士登録が可能です。国税従事者の免除制度によって、税理士試験が免除されます。
勤続年数によって免除される科目は以下のとおりです。
勤務年数 | 免除される試験 |
---|---|
10〜15年 | 税法に属する科目(従事する業務により免除科目は異なる) |
23年以上 | 全科目(ただし、指定研修を修了する必要がある) |
税務署で長年働くことで、受験する科目を減らせられます。一定以上勤務を続け、条件を満たすと全科目免除も可能です。
23年以上との時間はかかりますが、税務署に勤めながら資格取得を目指す方法もあることを知っておきましょう。
定年まで税務署に勤めて、退職後に開業される方もいます。
税理士試験に最短で合格するためのポイント5選
ここでは、税理士試験に合格するための5のポイントを解説します。
- 試験勉強に集中できる環境に身を置く
- アウトプットの時間をしっかり確保する
- 税理士試験のプロに教わる
- 他の受験生と比較しない
- 選択科目選びで失敗しない
これらを意識し実践することで、合格までの時間を短縮できるでしょう。
1.試験勉強に集中できる環境に身を置く
社会人で税理士試験合格を目指す場合、税理士試験に対して理解を示してくれる職場がよいです。会計事務所や税理士法人であれば、同じ志を持った人が多く集まっているため、周囲の目を気にせずに働きながら勉強ができます。
税理士として働くためには2年の実務経験が必要ですが、会計事務所や税理士法人で働くことで実務経験も積めます。実務経験をたくさん積んでおくことで、スムーズに独立開業に繋げられるのでおすすめです。
ただし、ブラック事務所では勉強に集中できない可能性があるため注意しましょう。
ホワイト事務所への転職ならヒュープロがおすすめです。ヒュープロは、税理士業界に特化した転職エージェントであり、独自のデータベースに基づき、あなたのスキルとマッチした会計事務所がきっと見つけられます。ぜひ、登録は無料なのでぜひチェックしてみてください。
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2.アウトプットの時間をしっかり確保する
試験合格のためにはアウトプットの時間をしっかり確保することが大切です。テキストや講義で知識を得ても、実際の問題に活用できないと意味がありません。
特に税理士試験では、ある程度のスピードが求められます。模試や過去問においては、実際の試験同様、時間を測りつつ問題を解く練習をしましょう。
覚えた知識をアウトプットする時間を作ることで、実践的な問題に対応できるようになります。
3.税理士試験のプロに教わる
少しでも早く合格するためには資格学校の利用がおすすめです。試験勉強は大きく分けて、独学と資格学校などを利用する方法があります。
独学は費用を抑えながら勉強ができますが、間違った勉強を行っていても誰も正してくれません。
なかなか税理士試験に合格できない原因として、勉強の仕方が間違っている可能性も挙げられます。
間違った勉強方法を続けていては、いつまで経っても合格に辿り着けないでしょう。多少お金をかけてでも、資格学校で正しい勉強方法を身につけて1年でも早く合格する方がコスパはよいです。
税理士試験の勉強でおすすめなのが、スタディングの税理士講座です。スタディングはスマホで学習を進められるため、通勤時間のようなスキマ時間を利用して動画学習が可能です。科目ごとに申し込みができるので、苦手科目だけを通信講座で学習するといった学習もできます。
効率的に勉強をすすめ、合格に近づくためにもプロに教わることを意識しましょう。
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4.他の受験生と比較しない
他の受験生はライバルですが、試験は自分自身との戦いでもあるといえます。
SNSなどで他の受験生が模試の結果や本番試験の結果を載せても、それに引っ張られてはいけません。劣等感にさいなまれ、モチベーションが低下する原因にも繋がります。
SNSは情報収集ツールとして優秀ですが、適切な距離感で使用しましょう。
他人の結果と比べて落ち込むよりも、昨日の自分の比べてどれだけ前進したかについて振り返る方が有意義です。
モチベーションに左右されず勉強を継続し、知識を積み上げていきましょう。
5.選択科目選びで失敗しない
税理士試験では選択科目があり、自分の好きな科目や得意な科目を選んで受験できます。選択科目選びで失敗しないようにしましょう。
- 税理士として将来する際に役立つか
- 合格に必要な勉強時間が短いか
- 勉強していて楽しいと感じるか
選択科目を選ぶ際には、税理士として将来仕事をするときに役に立つ科目であるかについても考えましょう。モチベーション維持のためにも「勉強していて楽しい」と思える科目であるかという視点も大切です。
ただ単に「勉強しやすい」「合格しやすい」などといった噂を鵜呑みにするのではなく、実際に過去問を解いてみてどの科目が自分に合っているかを見極めておきましょう。
なお、関連記事「【知らないと損】税理士試験に受からない人の特徴5選!受かるためのポイントも徹底解説」では、税理士試験に受からない人の共通点を解説しています。自分が当てはまっていないかどうか確かめるためにも、ぜひお読みください。
税理士試験を諦めようか悩んだときの3つの選択肢
長年勉強しても、税理士試験に合格できない人も多々います。税理士試験を諦めようか悩んでいる方は、以下の3つの選択肢を検討してみることがおすすめです。
- もう一度だけ受験を検討する
- 税理士試験の勉強を活かせる場所で活躍する
- 学んだ知識を別の資格試験に活かす
それぞれ詳しく見ていきましょう。
なお、税理士試験を受け続けるか迷った際には、「【税理士試験はおかしいのか】税理士をあきめるか迷ったときの考え方を元受験生が解説します」の記事が参考になるので、ぜひ判断材料としてお読みください。
1.再度受験にチャレンジする
再度受験にチャレンジするという選択肢を、まずは検討しましょう。ただ、再チャレンジするにあたっては以下の点に注意してください。
- 家族や応援してくれる人ともよく話し合う
- 「いつまでチャレンジを続けるか」合格までの期限決めておく
- 学習・生活スタイルを抜本的に見直す
受験を続けたいならば、周囲の人にその意思を伝え協力してもらいましょう。また、「いつまで受験を続けるか」の期限を明確に決めておくとズルズルと受験勉強に時間を消費しなくて済みます。
再チャレンジする際には、これまでと同じ学習スタイルや生活スタイルを続けても、同じ結果に終わってしまう恐れがあります。正しい勉強方法を身につけるためにプロの講義を受けてみるという選択肢もあるためぜひ検討してみてください。
学習スタイルを見直して再スタートを切ることで、合格に大きく近づけるでしょう。
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2.税理士試験の勉強を活かせる職場で活躍する
税理士試験の勉強を別の職場で活かすという方法もあります。
長年にわたって税理士試験の勉強をしてきた方にこそできる仕事はたくさんあります。専門的な会計事務所や上場企業の経理など高待遇な職場に転職するのも良いでしょう。
税理士試験に1科目でも合格している科目合格者ならば、転職を有利に進められます。
税理士試験の簿記論と財務諸表論などに合格していれば、即戦力として働ける職場は多いです。
税理士試験の勉強を活かせる職場に転職することで、やりがいを持って働けるでしょう。
税理士事務所や企業の経理などに特化した転職エージェントであるヒュープロならば、ホワイトで高待遇な職場への転職が実現しやすいです。ホワイトな事務所の求人も多々あるので、職場環境を変えたいと考えている方はぜひ登録してみてください。
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3.勉強した知識を他の資格取得に活かす
これまでの税理士試験の知識や経験で他の資格取得を検討するのも1つの選択肢です。資格試験は税理士試験の他にもたくさんあります。
さまざまな資格の中で、自分の夢や理想を叶えられるのは何かを再考してみるとよいでしょう。
私のおすすめはUSCPA(米国公認会計士)です。
USCPAの試験は税理士試験の勉強を活かしやすいため、これまでの知識や経験を活用すれば、1年〜1年半での合格が可能です。
また、USCPAの資格を取得すると、企業の海外事業部門や外資系企業でなどの高年収企業での活躍が期待できます。税理士試験の受験を諦めようかと悩んでいる人は、一度検討してみてください。
USCPAの試験や難易度についてもっと詳しく知りたい人は「USCPAのリアルな難易度を合格者が解説【簿記1級や税理士試験とも徹底比較】」の記事も参考にしてみてください。
税理士試験の合格に何年かかるを検討し最適なキャリアを選択しよう
長年、税理士試験の勉強を頑張ってきた人やこれから試験合格を目指そうと努力している受験生の人は、合格までどれくらいの期間がかかる理解しておきましょう。
税理士試験に合格するまでの道のりは長く険しいのが現実です。
税理士を目指すなら、合格までに必要な時間を把握し「なんとしても税理士になる」という強い覚悟を持って勉強を継続してください。
また「税理士になる」以外にも道はあります。これまでに勉強した知識を活かして別の資格を取りキャリアアップすることも可能です。
税理士試験を続けるかどうか迷っている方は、USCPAを始めとしたコスパの良い資格の取得を検討してみてください。視野を広く持ち今後のキャリアについて真剣に考えてみましょう。
以上!