税理士試験の受験生の中には、何年も勉強しているのに合格できず、受験を続けるべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか?税理士試験に合格できない人にはいくつか共通点があります。
もしかしたらあなたも「受からない人の特徴」に該当しているかもしれません。
受からない人の特徴を把握し、対策を講じるだけでも税理士試験に合格する可能性が高まります。
本記事では、税理士試験に受からない人の特徴について紹介し、どうすれば合格できるかについて解説しています。「少しでも早く税理士試験合格を果たしたい」「なかなか税理士試験に合格できない」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事を書いている人
単位ギリで地元の駅弁大学卒業→銀行に入社するもツラすぎて1年で退職(年収300万)→税理士試験に挑むも1科目も合格できず挫折(年収380万)→働きながら1年10か月でUSCPA取得→BIG4監査法人金融部転職(年収600~690万)→TOEIC855点獲得→大手FAS(年収910万)
凡人がUSCPA(米国公認会計士)試験の勉強方法や、USCPAを活かした転職方法について発信してます。
USCPA(米国公認会計士)資格のおかげで凡人の私でも5年で年収380万円から910万円に
税理士試験のリアルな実情を3つ紹介します。
- 税理士試験は合格率が低い
- 勉強量が非常に多い
- 合格してもすぐに仕事には結びつかない
現状をしっかり把握することで、物事を客観的にみれるようになるでしょう。1つずつ詳しく解説していきます。
1.税理士試験は合格率が低い
税理士試験は、合格率が低く難易度の高い試験です。税理士試験は、以下の科目の中から5科目を受験して合格点を取る必要があります。
選択or必須 | 科目 | 合格率 |
---|---|---|
必須科目 | 簿記論 | 23.0 |
必須科目 | 財務諸表論 | 14.8 |
選択必須科目 | 所得税法 | 14.1 |
選択必須科目 | 法人税法 | 12.3 |
選択科目 | 相続税法 | 14.2 |
選択科目 | 消費税法 | 11.4 |
選択科目 | 酒税法 | 13.2 |
選択科目 | 国税徴収法 | 13.8 |
選択科目 | 住民税 | 17.2 |
選択科目 | 事業税 | 14.1 |
選択科目 | 固定資産税 | 18.4 |
簿記論と財務諸表論の2科目は必須科目であり、所得税法と法人税法は最低でも1つは受験しなければならない選択必須科目です。残りの3または4科目を選択科目から選ぶこととなります。
それぞれの合格率は10〜20%前後であり、年によって若干異なります。科目ごとの受験者数によって合格率は変わるため、合格率が高いからといって簡単な科目であるとは限りません。
2.勉強量が非常に多い
税理士試験は、試験科目は5科目であり膨大な勉強量が必要です。
5科目全てに合格するまでに、3,000時間以上と膨大な時間がかかります。平均しておよその6〜7年の勉強時間が必要になるのです。
合格までには、大学4年間を修了するよりも多くの年数がかかります。
実際には、勉強を順調に進められるわけではないため、10年近くかかってやっと税理士試験に合格する人が多いです。仕事を続けながら長期間勉強を続ける忍耐力が必要です。
3.合格してもすぐに仕事には結びつかない
税理士試験に合格しても、すぐに仕事ができるわけではありません。税理士として働くためには実務経験が2年必要です。この2年は通算期間であり、同じ事業所でなくてもよいとされています。
弁護士や公認会計士の資格があれば実務経験はいりません。
実務経験を積むための方法としては、企業の経理部門で働いたり会計事務所で働いたりする方法があります。試験に合格する前から、実務経験が積める環境にいれば問題ありませんが、合格後に再就職が必要な場合は新たに就職活動をする必要があります。
税理士として働くまでのハードルは非常に高いです。税理士試験の難易度については「【税理士試験はおかしいのか】税理士をあきめるか迷ったときの考え方を元受験生が解説します」で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
税理士試験に受からない人の特徴5選
税理士試験に受からない人には、共通の特徴がみられます。
- 完璧にこなそうとする
- ブラックな職場で勉強時間が確保できていない
- ダラダラと勉強している
- 継続的に勉強できていない
- 自己流の勉強方法にこだわっている
自分がこれらの特徴に当てはまっていないか確認するために、1つずつ詳しくみていきましょう。
1.完璧にこなそうとする
完璧主義の人は、税理士試験に合格するのが難しい傾向にあります。インプットする時間が多くなったり、優先度が低い問題(捨て問題)にこだわったりしてしまうためです。
- インプットする時間が多くなり実践形式の学習ができないため
- 優先度が低い問題(捨て問題)にこだわってしまうため
資格試験においては完璧を求める必要はありません。
税理士試験は難関試験ですが、全問正解する必要はありません。「解くべき問題」と「捨てる問題」を見極めて解答していく力が必要です。
実践形式の学習によりアウトプットを行うことで、「解くべき問題」を見極める力が身に付きます。全て完璧にこなそうとする姿勢は合格から遠ざかってしまう恐れがあるため注意しましょう。
2.ブラックな職場で勉強時間が確保できていない
勉強に集中できる環境にない人は、税理士試験の勉強に受かるのは難しいです。社会人の方で毎日残業ばかりしていると、仕事が終わってからの勉強時間の確保は難しいでしょう。
会計事務所で働く人の中には、以下のようなブラックな職場のせいで勉強時間が確保できない人も多々います。
- 残業しても残業代が支払われない
- 給料も少なく手取り20万もない
- 休みが試験前休暇しかほとんど取れない
激務でブラックな事務所にいる場合は、勉強にも集中できず、ただただ疲弊していくだけです。税理士試験に本気で受かりたいと思うのであれば、勉強に集中できる環境に身を置くことが大切です。
雇用環境がブラックな場合には、税理士試験に合格するのはほとんど不可能でしょう。
職場環境が悪く勉強に集中できない場合には環境を変えなければなりません。税理士業界に特化したヒュープロならホワイト事務所の求人を多数取り扱っています。勉強に集中できる職場環境を手に入れたい方はぜひ利用を検討してみてください。
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3.ダラダラと勉強している
税理士試験に合格するためには、ある程度の勉強時間を確保する必要があります。しかし、単に「1日8時間勉強する」といったように長時間勉強するのが目的となってしまうと危険です。
勉強時間ではなく「今日は○○を覚えよう」「◯ページまで勉強を進めよう」といった具体的な目標を立てましょう。
勉強時間が長いのに越したことはありませんが、勉強は量よりも質が大切です。1日8時間をダラダラと勉強するのと、1日4時間しっかりと集中して勉強するのでは後者の方がコストパフォーマンスがよいです。勉強時間にこだわっている人は税理士試験に受かるのは難しいといえるでしょう。
4.継続的に勉強できていない
税理士試験の勉強は長期に渡るため、一時的な気合いでは乗り切れません。そのため、勉強を継続してできない人は税理士試験に受かるのは難しいです。
継続的に勉強するためには、勉強を習慣化させる必要があります。
- 起床後の朝の時間を勉強時間にあてる
- 通勤・退勤の電車では音声や動画で学習をする
- 仕事終わりにはカフェや自宅で勉強する時間を作る
- 就寝前に勉強したことを復習してから寝る
上記のような対策を取り入れて決まった勉強習慣を作りましょう。
5.自己流の勉強方法にこだわっている
自己流の勉強方法にこだわっている人は、勉強効率の面で合格から遠のいてしまっている可能性が高いです。最短距離で税理士試験に合格するためには、今一度自分の勉強方法を見直す必要があるでしょう。
おすすめは通信制の資格学校の利用です。資格学校は費用が高いという印象がありますが、スタディングの税理士講座は費用を抑えて受講ができます。
科目ごとにスマホで受講ができるため「苦手科目だけ集中的に勉強したい」という方や「隙間時間に効率的に学習を進めたい」という方におすすめの講座です。
通信講座を利用することで、独学ではみえなかった自分の弱点を知り、効率的に勉強が進められるようになるでしょう。
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税理士試験に合格するための5つのポイント
税理士試験に合格するためにはいくつかのポイントがあります。
- スキマ時間で効率的に勉強する
- 選択科目選びに失敗しない
- 実践形式での勉強を行う
- 他の人と比較しない
- 大学院での科目免除制度を利用する
闇雲に勉強するのではなく、これらのポイントを押さえることで結果も違ったものになってくるでしょう。
1.スキマ時間で効率的に勉強する
税理士試験に合格するためには、スキマ時間を有効に活用することが大切です。社会人の場合は、仕事との兼ね合いから平日に勉強時間を確保するのが難しい人もいるでしょう。
平日はあまり勉強できなくても、起床後の10分や通勤・退勤の電車内などスキマ時間を積み上げて勉強していくことが大切です。
スキマ時間でも、積み重ねると大きな時間になります。
スキマ時間を有効活用して、効率的な勉強を行うようにしましょう。
2.選択科目選びに失敗しない
税理士試験では選択科目があり、指定された科目の中から選んで受験します。税法に属する科目のうちからは3科目を選択する必要があるので、以下のポイントから科目を選んでみましょう。
- 将来的な仕事で役立つか
- 合格に必要な勉強時間が短いか
- 合格しやすい科目か
試験範囲が狭く勉強しやすいものであっても将来的に仕事で役立つかどうかを考えて、科目を選択しないとモチベーションの低下に繋がります。
また、実際に過去問などを解いてみて、どの科目が自分に合っているかを確認しながら選択科目を慎重に決めていくことも大切です。
科目を選択する際には「勉強していて楽しいか」という感覚も大事です。
3.実践形式での勉強を行う
試験勉強をする上では、アウトプットをしっかり行うことが大切です。テキストや講義などでインプットした知識を活かしながら、実際の過去問や模試試験を受け多くの問題に触れる中で、時間配分などの戦略を立てられるでしょう。
実践形式の勉強を行うことで、限られた時間で「解くべき問題」と「優先度が低い問題」を見極める力がつきます。
制限時間内に解ききれない量の問題が出題されるため、「解くべき問題」を見極める力は重要です。
税理士試験では計算問題や理論問題などさまざまな問題が出題されるため、どれを優先して解くかを瞬時に判断しなけらばなりません。普段の学習から実践を意識してさまざまなパターンの問題に触れておくのがおすすめです。
4.他の人と比較しない
資格試験の受験生は、モチベーションアップのためにSNSを活用する人が多いです。スクールの講師もSNSで試験に関する最新情報を発信しているため、SNSを通じて得られるものは大きいです。
しかし、SNS上の他の受験生や合格者と自分を比較するのは避けましょう。SNSではポジティブな意見や上手くいった人の声が多く発信されているため、ついつい自分と比較してしまい落ち込むことが多くなります。
他の人と比較しすぎるとモチベーションの低下につながる恐れもあるため注意しましょう。
税理士試験は自分との戦いでもあります。
5.大学院での科目免除制度を利用する
大学院を特定の条件を満たし卒業することで、税理士試験の受験科目の一部を免除してもらえます。科目免除の概要は以下のとおりです。
科目免除の種類 | 免除を受けるための条件 |
---|---|
会計科目1科目免除 | 以下の2つの条件を満たした場合 ・「会計学」に関する研究論文を作成し卒業すること ・「会計学」に関する研究論文が国税審議会で認定を受けること |
税法科目2科目免除 | 以下の2つの条件を満たした場合 ・「税法」に関する研究論文を作成し卒業すること ・「税法」に関する卒業論文が国税審議会で認定を受けること |
科目免除制度を利用すると受験科目を減らせます。うまく利用できると高確率で税理士資格を取得できるでしょう。
会計事務所に働きながら、夜間で大学院に通っている方もいます。また入学料は大学によりけりですが、100万円は軽く超えてきます。時間や費用が非常にかかることを考えるとあまりおすすめの方法ではありません。
自分の立場や状況を考えてみて、メリットや魅力を感じるならば科目免除制度の利用を考えてみましょう。
税理士試験から撤退し別の資格に活かすことも検討する
税理士試験の勉強を続けていくのも選択肢の1つですが、一度立ち止まって今後のキャリアを考えてみることをおすすめします。
税理士試験が全てではありません。これまで頑張ってきた自分を正当化しようとして、向いていない分野に時間とお金をつぎ込んでいないか確認しましょう。
何年も合格できずに病んでしまうくらいなら思い切って撤退することをおすすめします。以下の関連記事「【税理士試験はおかしいのか】税理士をあきめるか迷ったときの考え方を元受験生が解説します」では、税理士試験を諦めるか迷った時の考え方について詳しく解説しているので参考にしてみてください。
ちなみに、私は税理士試験の勉強からUSCPAに切り替えて正解でした。
私も税理士試験に挫折し、USCPAの資格取得に方向転換した結果、年収アップや監査法人への転職を成功させることができました。税理士試験に毎年不合格で諦めようかと悩んでいる人は、一度USCPAの受験を検討してみるのもよいでしょう。
USCPAについて詳しく知りたい方は、「毎年不合格&安月給の税理士受験生にUSCPA(米国公認会計士)をおすすめする理由を元税理士試験受験生が解説!」の記事もぜひ参考にしてみてください。
税理士試験に受からない人の特徴を把握してキャリアを検討しよう
さまざまな苦難を乗り越えて、税理士試験に合格するのは素晴らしいことです。税理士になって成し遂げたい夢もあるでしょう。
ただし、自分が「税理士試験に受からない人の特徴」に当てはまっている場合には、合格する可能性が低くなるため注意が必要です。本記事で紹介した合格するためのポイントを参考に改善していきましょう。
何年も受験を継続しても合格できない人は、一度立ち止まってみることも大切です。税理士試験の勉強を活かす方法はたくさんあります。
税理士試験の経験を活かす1つの選択肢として、USCPAはおすすめです。
自分のキャリアを考えて税理士試験の勉強を継続するかどうかを検討しておきましょう。
以上!