税理士試験を目指そうと考えている時に、周囲の人にやめとけと言われ、受験するべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。税理士という資格に魅力を感じていても周りの意見に戸惑うこともあるはず。
私もかつて受験生として、税理士試験の難しさ・厳しさを痛感しました……
税理士試験は簡単に取得できる資格ではありません。大量の勉強時間や費用を投下する必要があります。
また、受験勉強を始める際には事前に理解しておかないと後悔してしまうポイントが多々あるため注意が必要です。
本記事では、税理士試験の受験について「やめとけ」と言われる理由や試験の難易度を解説します。他の会計資格との比較についてもあわせて紹介しているので、ぜひ税理士試験の受験を検討している方は参考にしてみてください。
勉強時間を確保できるホワイトな会計事務所に転職したいなら転職エージェントのヒュープロ(Hupro)がおすすめ
- 税理士業界に特化しているから事務所の情報がきめ細かくわかる
- エージェントが各事務所と面談済みなので求人票じゃ伝わらない事務所の雰囲気もわかる
- 税理士業界の求人も多数だから自分に合う事務所が探しやすい
\今すぐ転職活動しなくても利用可能!/
この記事を書いている人
単位ギリで地元の駅弁大学卒業→銀行に入社するもツラすぎて1年で退職(年収300万)→税理士試験に挑むも1科目も合格できず挫折(年収380万)→働きながら1年10か月でUSCPA取得→BIG4監査法人金融部転職(年収600~690万)→TOEIC855点獲得→大手FAS(年収910万)
昔の私のような低スペック会社員がUSCPA(米国公認会計士)資格を活かして年収アップさせる方法を発信してます。
USCPA資格のおかげで年収380万円から910万円に
税理士試験はやめとけと言われる理由5選
税理士試験はやめとけと言われる理由は主に以下の5つです。
- 試験の難易度が高い
- 仕事と勉強の両立が難しい
- 資格取得まで費用と時間がかかる
- 税理士業務を行うには2年以上の実務経験が必要になる
- 資格をとっても割りに合わない可能性がある
具体的に見ていきましょう。
1.試験の難易度が高い
税理士試験の合格率は約18%であり、取得が難しい国家資格の一つと言われています。税理士試験の難易度が高い理由は以下の通りです。
- 合格率10〜20%の試験科目から5科目に合格する必要ある
- 大量の知識を丸暗記する必要がある
- 試験ではスピードと正確性が求められる
- 受験生自体のレベルが高い
各試験科目の合格率はどれも10〜20%ほどであり難易度は非常に高いです。大量の知識・条文を丸暗記する必要があります。
試験本番では、答案においてスピードと正確性の両方が求められます。
受験生自体のレベルが高く、何年も予備校で勉強しているベテランが存在することも試験の難易度が高いと言われる原因の一つです。
税理士試験の合格を目指すには、ライバルに負けない勉強量や効率的に勉強を行う能力が必要となるでしょう。
税理士試験の難易度の詳細や科目別の勉強時間については「やめとけと言われる税理士試験の難易度」の章で解説しているのでぜひ参考にしてください。
2.仕事と勉強の両立が難しい
税理士試験に合格するために必要な勉強時間は2,000〜3,000時間以上であり、仕事が忙しいと勉強との両立が困難です。
仕事以外の時間帯で受験勉強を行う必要がありますが、激務な職場ではなかなか勉強時間を確保できません。
働きながら合格を目指す人が多いですが、勉強時間を上手に確保できないと合格は厳しいです。
周囲の受験生のレベルも高いので、勉強時間をしっかり確保できる環境に身を置く必要があります。
3.資格取得まで費用と時間がかかる
税理士試験の勉強では、予備校や通信講座の受講料がかかります。他にも模擬試験の受験費用や問題集の購入費用なども必要となるでしょう。
- 通信講座の受講料(50万円〜)
- 予備校の通年コース受講料(10〜30万円程度)
- 模擬試験の受験費用
- 問題集の購入費用
- 税理士試験の受験費用
また、資格取得までに大量の勉強時間を確保しなければいけなりません。
一般的に5科目全てに合格するまでには平均して6〜7年ほどの時間がかかります。
税理士の資格取得までにかかる費用や時間を事前に理解しておかないと後悔してしまう場合があるため、しっかり把握しておきましょう。
4.税理士業務を行うには2年以上の実務経験が必要になる
税理士試験に合格しても、2年以上の実務経験がないと税理士として業務が行えません。
違う業界から税理士試験を受ける方は、税理士法人か会計事務所で実務経験を積んでおくのがおすすめです。若いうちのほうが採用率が上がるため早めに実務経験が積める職場への転職を検討しておきましょう。
試験合格を目指す方は早めに実務経験が積める環境に身を置きましょう。
5.資格をとっても割に合わない可能性がある
税理士資格を取得してしまえば、独立も可能であり転職先に困ることはありません。しかし、税理士の年収は400〜700万円と働く事務所によってピンキリであることが多いです。
資格取得にかかった費用や時間を考慮するとコスパが悪く感じてしまう人もいるでしょう。
働く環境をしっかりと選ばなければ、思ったような報酬を得られない場合があることに気をつけなければなりません。
なお、税理士事務所での給料事情について詳しく知りたい方は「税理士事務所の給料は安い?ブラック事務所から抜け出して年収アップする方法を解説」で解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
やめとけと言われる税理士試験の難易度
税理士試験の難易度を主に以下の3つの観点から解説します。
- 税理士試験の合格率
- 年齢別合格率
- 科目別の勉強時間と合格率
合格率と勉強時間はどれくらいなのか具体的に把握しておきましょう。
順に詳しく解説していきます。
1.税理士試験の合格率
税理士試験の合格率は全体平均で約18%です。過去3年間の合格率は以下の通りです。
年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|
合格率 | 20.3% | 18.8% | 19.5% |
税理士試験は相対評価の試験です。いくら高得点を取っていても、他の受験生がハイレベルであると合格しづらくなります。
どんな内容の試験でも上位に食い込める実力がないと税理士試験にはなかなか合格できません。
税理士試験は、小手先の知識だけでは合格できない試験です。
2.年齢別合格率
年齢別の合格者数は以下の通りです。
年齢/年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|
41歳以上 | 10% | 11.5% | 13.2% |
36~40歳 | 14.3% | 16.2% | 19.2% |
31~35歳 | 16.85% | 19.7% | 21.7% |
26~30歳 | 18.1% | 23% | 25.1% |
25歳以下 | 27% | 32.7% | 33.8% |
税理士試験の合格率は、若い人ほど高くなっています。若年層のほうが合格率が高い理由としては以下の要因が考えられます。
- 学生の間に独学できる
- 大学で同じような内容を学べる
- 年齢が高い人ほど仕事に忙しい
勉強時間をいかに確保できるかがポイントです。仕事が忙しくなかなか勉強ができないと感じている方は環境を変えてみることも検討してみてください。
3.科目別の勉強時間と合格率
税理士試験の試験科目と勉強時間は以下の通りです。
科目 | 種別 | 勉強時間(目安) | 2022年度合格率 |
---|---|---|---|
簿記論 | 必修 | 500~800時間 | 16.5% |
財務諸表論 | 必修 | 500~600時間 | 23.9% |
所得税法 | 選択必修 | 1,000~1,500時間 | 12.6% |
法人税法 | 選択必修 | 1,000~1,500時間 | 12.8% |
相続税法 | 選択 | 900~1,200時間 | 12.8% |
消費税法 | 選択 | 600~800時間 | 11.9% |
酒税法 | 選択 | 350~500時間 | 12.6% |
国税徴収法 | 選択 | 350~500時間 | 13.7% |
住民税 | 選択 | 350~500時間 | 12.7% |
事業税 | 選択 | 350~500時間 | 12.6% |
固定資産税 | 選択 | 350~500時間 | 12.8% |
選択する科目によって勉強時間が異なります。5科目に合格するためには合計2,000~3,000時間以上の勉強時間が必要です。
選択必修科目である「所得税法」と「法人税法」は、暗記項目が多く他の科目よりも約2倍ほど勉強時間が必要となるため、計画的に学習を進めていかなければなりません。
【該当するならやめとけ】税理士試験に受からない人の特徴3つ
税理士試験に受からない人の特徴は主に3つあります。
- 完璧主義な人
- 無計画に勉強する人
- 気分に左右される人
当てはまっていないか具体的に見ていきましょう。
1.完璧主義な人
試験範囲の内容を完璧に網羅しようとする人は合格しづらい傾向にあります。膨大な範囲の知識を効率よく学習するためには、情報を取捨選択して覚える必要があるからです。
また試験本番では大量の問題が出題されるので、解く問題と捨てる問題を瞬時に見極める力が必要です。「出題された問題は全て解ききる」といった完璧主義に囚われていると合格できない試験である点を理解しておきましょう。
大手予備校の先生が実際に言っていましたが、予備校の講師でも解けない問題が出ることがあるそうです…
2.無計画に勉強する人
税理士試験の勉強では計画性が大切です。毎日テキストを開くだけで、だらだらと勉強していては合格から遠のいてしまいます。
試験合格の目標から逆算し、計画的に勉強を行いましょう。
忙しい社会人の方は、朝の時間帯や通勤・退勤の時間などスキマ時間を上手く勉強時間に充てて計画的に勉強する必要があります。
スタディングの税理士講座では、プロによるビデオ講座や暗記ツールなどの教材が充実しており、最適な学習を進められるプログラムが組み込まれています。忙しい社会人でもスキマ時間で税理士試験の勉強ができるので、計画的に勉強したい方はぜひ検討してみてください。
\効率的な勉強で合格を目指す!/
3.気分に左右される人
税理士試験の合格には長期の勉強時間が必要です。モチベーションが低い時に勉強が継続できないと合格は難しくなるでしょう。
勉強を習慣化させるために、普段の生活の中に勉強時間を組み込みましょう。
- 出勤前の朝の時間を勉強時間にあてる
- 通勤・退勤の電車では音声や動画で学習をする
- 仕事終わりにはカフェや自宅で勉強する時間を作る
- 就寝前には暗記モノの勉強を行う
自分の気分に左右されずに勉強を継続できる習慣を身につけておかないと、税理士試験には合格できません。
【やめとけは本当?】税理士資格を取得するメリット・魅力4つ
税理士資格を取得するメリットは、主に以下の4つです。
- 専門的な知識を活かせる
- スキルアップができる
- 安定した収入がある
- 独立開業ができる
税理士資格を取得する魅力を把握しておくことで、モチベーションアップに繋がりますよ。
それでは、詳しく見ていきましょう。
1.専門的な知識を活かせる
税理士は、専門的な知識を活かしてクライアントをサポートできる資格です。顧問先の企業に適した税務処理と経営のサポートを行うので高度な知識と経験が求められます。
小規模事業者に特に多いですが、数字が苦手な経営者は意外と存在します。そのため、決算書などの数字を見てアドバイスするとクライアントにも喜ばれるでしょう。
クライアントの経営サポートを行うことでやりがいを実感できるので、働くモチベーションもアップします。
2.スキルアップができる
事業譲渡や資産税など専門性に特化した会計事務所なら税務以外の知識が身に付きスキルアップが可能です。
相続税や贈与税の相談は、高度な専門知識も要求され需要も多いです。
税理士は税務業務だけではなく、さまざまな場面で活躍ができます。
- 融資
- 事業譲渡
- 事業承継
- 経営コンサル
- M&A
他にもありますが、幅広い分野でスキルアップが狙える資格です。専門性を身につけることで転職やキャリアアップも考えられるでしょう。
3.安定した収入がある
税理士資格がなければ代行できない独占業務があるので、安定した収入が得られるのが魅力です。
- 税務代理
- 税務書類の作成
- 税務相談
税務書類の作成では専門的な知識と手間がかかるので、多くの企業が税理士を求めています。そのため、税理士資格を取得できると仕事に困る可能性は低くなるでしょう。
高収入を狙うなら、自分の専門性を高めて大手税理士法人などに転職を検討するのもおすすめです。
4.独立開業ができる
税理士資格を取得し実務経験を積めば独立開業できます。自分のペースで仕事ができるので仕事に自由度を求める方にはぴったりです。
定年退職という概念が無くなるので、自分が働きたい年齢まで働けます。早めに稼ぎ切って早期リタイアを検討するなど人生の選択肢も増えるでしょう。
働き次第で結果を出せば高収入も期待できます。
【どれを取得すべき?】税理士試験とその他の会計試験・資格を比較
税理士試験とその他の会計資格・試験を比較していきます。税理士を含めた4つの会計資格についての比較表は以下の通りです。
資格名 | 合格までに必要な勉強時間 | 平均合格率 |
---|---|---|
税理士 | 2,000〜3,000時間以上 | 18% |
簿記1級 | 600時間 | 12.5% |
公認会計士 | 2,500〜3,500時間以上 | 7.7% |
USCPA(米国公認会計士) | 1,500時間 | 34.3% |
資格取得の難易度は以下の通りです。
公認会計士>税理士>USCPA(米国公認会計士)>簿記1級
それぞれの資格と難易度の比較の詳細を解説します。
税理士とUSCPA(米国公認会計士)を比較
USCPA(米国公認会計士)は、アメリカ各州が認定している会計士資格です。合格率や勉強時間から考えると税理士試験よりは難易度は低い試験と言えるでしょう。
税理士>USCPA(米国公認会計士)
USCPAは、難易度が低くてもコスパは高い資格です。比較的年収が高い求人が多いため、税理士にこだわらないのであれば、資格取得を検討してみるとよいでしょう。
税理士試験に挫折した私の意見としては、USCPAの取得を検討するのも一つの選択肢としておすすめです。
なお、USCPAの試験の難易度や他の試験との比較の詳細については「USCPAのリアルな難易度を合格者が解説【簿記1級や税理士試験とも徹底比較】」で詳しく解説しているのでぜひチェックしてみてください。
税理士と公認会計士を比較
公認会計士は、会計資格の中でも難易度が高い資格あり、企業の監査と会計などを専門業務として行います。
合格率は7.7%と低く、合格までの勉強時間も税理士より必要である場合が多いです。
税理士>公認会計士
公認会計士は、会計資格の中でも最高峰に位置すると言われています。
税理士と日商簿記1級を比較
簿記1級は経営の管理や分析を行う会計資格です。簿記1級の取得で税理士試験の資格を得られるため、「簿記1級は税理士の登竜門」とも表現されます。
税理士>簿記1級
簿記1級は決して簡単な資格ではありませんが、会計資格の中では比較的取得しやすい資格です。
簿記1級は、勉強時間が取りづらい方や手っ取り早く会計資格を得たい方におすすめです。
税理士以外の会計資格も選択肢として検討しよう
税理士試験は、難易度が高く合格まで費用や時間がかかることから「やめとけ」と言われがちな試験です。受験勉強を開始する際には、事前に知っておかないと後悔するポイントが多々あります。
試験の難易度や合格に必要な勉強時間、資格取得後のキャリアプランなどを総合的に考え、税理士試験に挑むかどうかを見極めましょう。
他にもキャリアアップに役立つ会計資格はたくさんあります。視野を広げて別の資格・試験を検討するのも選択肢の一つです。
とくにUSCPAはコスパの高い試験ですので、ぜひ検討してみてください。
おすすめの会計資格であるUSCPAについての詳細は、「毎年不合格&安月給の税理士受験生にUSCPA(米国公認会計士)をおすすめする理由を元税理士試験受験生が解説!」で税理士受験生向けに解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
自分が実現したい目標やキャリアプランを考えて、税理士試験を受けるかどうかを検討しましょう。
以上!