USCPA(米国公認会計士)はまだまだマイナー資格のため、取得後は実際どれくらい稼げるかあまり知られていません。「よくわからないからやめておこう…」と自己研鑽の機会や自分のキャリアを諦めてしまうのはもったいないです。
この記事では、USCPA取得後に5年で年収が380万から910万円になった私が、USCPA取得者の平均年収や稼ぎやすい業界、私の年収推移をお伝えします。
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単位ギリで地元の駅弁大学卒業→銀行に入社するもツラすぎて1年で退職(年収300万)→税理士試験に挑むも1科目も合格できず挫折(年収380万)→働きながら1年10か月でUSCPA取得→BIG4監査法人金融部転職(年収600~690万)→TOEIC855点獲得→大手FAS(年収910万)
USCPA資格のおかげで年収380万円から910万円に

USCPA(米国公認会計士)取得者の平均年収と雇用実態

まず、USCPA取得者の年収や仕事の実態について以下の3点から解説します。
- 平均年収
- 勤務先業種
- 仕事内容
なお、各データは「登録者」と「全科目合格者別」に紹介しています。登録者とは合格後にライセンスを取得した方、全科目合格者は必要4科目に合格した方を指します。
1. 平均年収
転職エージェントMS-Japanが調査したUSCPAライセンス登録者・全科目合格者の年代別平均年収は以下のとおりです。
ライセンス登録者 | 全科目合格者 | |
---|---|---|
20代以下 | 566万円 | 488万円 |
30代 | 793万円 | 659万円 |
40代 | 978万円 | 815万円 |
50代以上 | 1,154万円 | 1,113万円 |
全体 | 928万円 | 710万円 |
参照:MS-Japan
年代が上がるにつれて年収額は上がり、それぞれの平均についてはライセンス登録者は928万円、全科目合格者は710万円となっています。
このデータから、USCPA資格を活かして働いている人の年収は900万円は固いと言えます。
2. 勤務先業種
次にUSCPA取得者がどのような業種に就いているのかを紹介します。転職エージェントMSAgentの調べによれば、勤務先業種は以下のとおりです。
登録者 | 全科目合格者 | |
---|---|---|
監査法人 | 17.2% | 8.7% |
会計事務所 | 9.6% | 8.6% |
その他士業事務所 | 1.0% | 1.3% |
コンサルファーム | 4.3% | 3.5% |
金融 | 14.8% | 15.4% |
製造 | 20.0% | 20.5% |
IT・通信 | 14.8% | 8.8% |
その他 | 25.5% | 33.2% |
参照:MS-Japan
会計の知識を直接活かせる監査法人・会計事務所・士業事務所に勤める割合は、登録者で約28%、全科目合格者で約19%程度です。
USCPA取得はコンサルティングファームや金融など幅広い業界で活躍していることがわかりますね。
3. 仕事内容
転職エージェントMSAgentの調べによれば、USCPA取得者の仕事内容は以下のとおりです。
登録者 | 全科目合格者 | |
---|---|---|
経理・財務 | 38.2% | 34.0% |
監査・アドバイザリー | 16.2% | 7.7% |
金融関連 | 8.8% | 7.8% |
経営企画 | 7.3% | 5.8% |
コンサルタント | 4.5% | 3.1% |
内部監査 | 5.6% | 0.9% |
その他 | 13.1% | 29.5% |
参照:MS-Japan
USCPA取得者のうち、事業会社の経理・財務で働いている人が約3~4割と最も多くなっています。
すでに経理・財務で働いている人がスキルアップのためにUSCPAを取得するケースが多いのでは、と思われます。
USCPA(米国公認会計士)取得で高年収を狙える業界

USCPA取得者が高年収、具体的には年収1,000万円を目指すにはどうすればよいのでしょうか。
年収をアップするには、どんな資格やスキルを持っているかよりも働く業界が重要です!
こちらでは高収入が期待できる6つの業界を紹介します。
- 監査法人
- コンサルティング業界(FAS)
- 金融業界(投資銀行・PEファンド)
- 外資系企業
- インターネット業界(メガベンチャー)
- 海外現地採用
一つひとつ見ていきましょう。
1. 監査法人
監査法人は、USCPAの資格を活かせる代表的な転職先の一つです。
Big4監査法人に転職した場合の年収
職位 | 昇格までの期間 | 年収 | 説明 |
---|---|---|---|
スタッフ | 3~4年 | 500~650万 | 現場の作業部隊 |
シニアスタッフ | 3~4年 | 700~900万 | 一人前の会計士 |
マネージャー | 3~5年 | 900~1,100万 | 現場監督 |
シニアマネージャー | 実力次第 | 1,200万~ | マネージャーの上位 |
パートナー | 実力次第 | 1,700万~ | 役員兼株主 |
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出典:週刊ダイヤモンド、たけぞうの実体験・ヒアリング等、エンゲージ会社の評判 (PwCあらた有限責任監査法人)、OpenMoney (EY新日本有限責任監査法人)、OpenWork(有限責任監査法人トーマツ) 、OpenWork(有限責任あずさ監査法人)
上表はBig4監査法人に転職した場合の年収の目安になります。Big4監査法人とは以下の4社を指します。
- PwCあらた有限責任監査法人
- EY新日本有限責任監査法人
- 有限責任監査法人トーマツ
- 有限責任あずさ監査法人(KPMG)
役職は多くの場合「スタッフ」「シニアスタッフ」「マネージャー」「シニアマネージャー」「パートナー」があります。役職によって年収は大きく異なり、スタッフの場合500~650万円程度、パートナーになれば1,700万円以上も期待できます。
監査法人では、USCPAも日本の公認会計士と同じ給与水準です。ただし日本法人のため、監査報告書にUSCPA取得者はサインはできません。
なお、監査法人にはざっくり「監査証明業務(会計監査)部門」「非監査証明業務(会計アドバイザリーなど)部門」の2つの部門があります。両者の年収テーブルは若干違うものの、概ね同じです。
中堅・準大手監査法人に転職した場合の年収
職位 | 年収 |
---|---|
スタッフ | 400~550万 |
シニアスタッフ | 500~650万 |
マネージャー | 800~1,000万 |
シニアマネージャー | 1,000~1,200万 |
パートナー | 1,300万~ |
出典:たけぞうのヒアリング、アビタス等
中堅・準大手の監査法人は主に以下の法人が挙げられます。
- 太陽有限責任監査法人
- 仰星監査法人
- 東陽監査法人
- 三優監査法人
- RSM清和監査法人
Big4と比較すると、約100万円程度は低いケースが多いです。ただし中堅監査法人の中でも、人材確保のためBig4と同等の給与水準を提示する法人もあるようです。
2. コンサルティング業界(FASなど)
コンサルティング業界には、多くの業務領域の会社があります。具体的なコンサル会社は以下の通りです。
- 戦略系(マッキンゼー、BCGなど)
- 業務・IT系(アクセンチュア、アビームコンサルティングなど)
- 財務系(Big4 FASなど)
- 組織人事系(マーサー、ウイリス・タワーズワトソンなど)
この中でUSCPA保持者と親和性が高いのは財務系(FAS)です。FASとは「ファイナンシャルアドバイザリーサービス」の略で、M&Aや再生など財務アドバイザリーサービスを提供する会社です。
FASの中でも年収が高いのは、Big4監査法人のグループの別法人である「デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社」「EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社」「株式会社KPMG FAS」「PwCアドバイザリー合同会社」となります。
Big4 FASの年収は、Big4監査法人と比べて、各役職ごとに約100万円以上は高い給与水準となります。
3. 金融業界(投資銀行、PEファンド)
金融業界は概して年収の高い業界ですが、その中でも投資銀行やPEファンドは特に給与が高いとされています。
投資銀行はM&Aの仲介や有価証券の売買によって利益を得る金融機関です。M&Aを行う投資銀行部門、有価証券を行う市場部門から構成されており、数千万を超えるほど高い年収で有名です。
PEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)は、企業を買収し、経営陣を派遣するなどしてバリューアップをすることでリターンを得る事業です。主に非上場会社を投資対象とし、バイアウトファンド、企業再生ファンド、ベンチャーキャピタルなどがそれに該当します。
PEファンドは投資先企業を売却することでリターンを得ており、そのリターンを担当者に分配される成功報酬(キャリーボーナス)は非常に高額なことで知られています。一概には言えませんが、ディレクター以上だと億を超えることは珍しくないようです。
PEファンドに転職した先輩や後輩もいましたが、みんなめちゃくちゃエリートでした。私も一瞬目指しましたが諦めました…。
ぶっちゃけ、私のような凡人USCPAの場合、投資銀行やPEファンドはかなりハードルは高いと思ってます。転職できないことはないのですが、超ハイスペックかつタフに働ける精鋭のみ行くべき業界だと思います。
4. 外資系企業
海外に本社のある外資系事業会社の日本支社は、高収入を狙える選択肢です。USCPA取得者は、会計知識と合わせて語学力が評価されます。
外資系事業会社の財務経理担当は本社にあるため、日本支社では管理会計担当者としての役割が期待されます。会社が採用している会計基準に合わせて、各種財務諸表の作成や本社とのやりとりを英語で行う役割を担えるでしょう。
外資系企業は賃金体系が海外基準であるため、日本企業よりも高収入になるケースが多いのが特徴です。
管理職クラスであれば、1,000万円以上は十分目指せるでしょう。
5. インターネット業界(メガベンチャー)
インターネット業界(メガベンチャーなど)はSaaS系をはじめ、ここ数年の成長性が著しいこともあり、比較的年収が高いです。新規事業開発やM&Aが活発なこともあり、外部から財務スキルのある人材を募集しているケースは少なくありません。
財務会計、監査、税法など幅広い知識を持つUSCPA取得者は重宝されやすいと思われます。
USCPAの場合、財務経理や内部監査といったバックオフィス関連、または経営企画などの求人に対して採用されることが想定されます。経営企画では事業開発やM&Aなど、経営に深く踏み込んでチャレンジしたい人材に適しています。
主な大手インターネット業界企業の平均年収は以下のとおりです。成長性の高い業界のため、平均年収も高めになっています。
会社名 | 平均年収 |
---|---|
Zホールディングス(旧ヤフー) | 912万円 |
株式会社リクルートホールディングス | 1,119万円 |
エムスリー株式会社 | 936万円 |
株式会社メルカリ | 1,167万円 |
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA) | 854万円 |
参照:LIMO | くらしとお金の経済メディア(Zホールディングス)、タレントスクエア(リクルート)、タレントスクエア(エムスリー)、タレントスクエア(メルカリ)、タレントスクエア(DeNA)
6. 海外現地採用
USCPAは米国で現地採用を目指す場合に、大きなアドバンテージになります。現地採用は米国基準の給与体系で働けるため、日本国内よりも高年収を目指せる可能性があります。
米国の監査法人には日系企業専門のチームがあり、日本語を話せるスタッフの需要は常にありますね。
監査法人だけでなく、事業会社でも日本語の話せるUSCPA保持者を求めている会社は少なくありません。
また、アメリカのほかにもシンガポールや香港などアジア圏の国々でもチャンスがあります。海外で働く選択肢も視野に入れてみましょう。
たけぞうの年収推移を公開!
年 | 資格・Big4職位 | 職場 | 年収推移 |
---|---|---|---|
0年目 | USCPA-FAR、AUD合格 | 会計事務所 | 380万円 |
1年目 | USCPA-REG、BEC合格 | 無職⇒Big4監査法人 | 320万円(8か月) |
2年目 | スタッフ | Big4監査法人 | 610万円 |
3年目 | スタッフ | Big4監査法人 | 610万円 |
4年目 | スタッフ⇒シニアスタッフ | Big4監査法人⇒Big4FAS | 690万円 |
5年目 | シニアスタッフ | Big4FAS | 910万円 |
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上表は私の年収推移になります。
USCPA学習中は年収380万円でしたが、合格後はBig4監査法人に転職して年収が610万円までアップしています。また3年後にはBig4 FASに異動して年収910万円になりました。つまりUSCPA学習開始時点から2年で610万、5年で910万に到達したことになります。
年収アップできたのは、USCPA資格を活かして高年収の業界である監査法人とコンサル業界(FAS)に転職したおかげです。
USCPA(米国公認会計士)取得で年収が上がってよかったこと

ここでは私がUSCPAをきっかけに年収がアップしてよかった事をお伝えします。
- 仕事用の良い靴(ジョンロブ25万)が買えた
- 高年収専用のマッチングアプリに登録できるようになった
- お掃除ロボ、家事代行、乾燥機能付き洗濯機により、時間を買えるようになった
- コンビニやスーパーでは値段を気にしなくなった
- 都内に住めた(家賃11.5万円)
- 本は少しでも興味があったら即ポチできるようになった
- USCPA取得にかかった費用約120万円が1年程度で回収できた
- 週に何回かは同僚とスタバでコーヒー休憩できる
- 残業で頑張った月はオイルマッサージ(数万円)に行ける
- 親に仕送りができた
また専門家職なので、営業職のようにスポットではなく、実務経験や知識をつけながら着実に年収を上げていけるのがいいです!
凡人がUSCPA(米国公認会計士)で年収1000万に到達するまでのロードマップ

私のような凡人でも、USCPAを活かして年収アップすることは可能です。
私は20代の時にどうやったら年収が上がるか本気で考えてきました。また実際にUSCPAを取得し、転職や異動、転職エージェントと何度も相談をしてきました。それらを踏まえると、以下のやり方なら凡人でも再現性をもって年収1,000万円以上に到達することは可能です。
- Step0:USCPA予備校を選ぶ
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- Step4:実務経験を活かして高年収業界に転職をする(700~900万)
- Step5:コツコツ昇給し高年収をキープする(800~1,000万)
希望のキャリアから逆算して行動しましょう!
以上!
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